【衆院本会議】おおつき紅葉衆議「国と自治体の関係が『上下・主従』に戻ることを危惧」
掲載日:2024.05.08
衆院本会議で5月7日、「地方自治法の一部を改正する法律案」に対する代表質問をおおつき紅葉議員が行いました。
おおつき衆議はまず、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」に関する特例規定をあらたに設けた指示権限の導入について、改正案の元となった答申自体が、「日本国憲法の基本理念を十分に具現するように現行地方制度に全般的な検討を加える」という地方制度調査会の目的に反しているのではないかと指摘。加えて、個別法が想定していない事態に対し、地方自治法の中に包括的な指示権を設けることについて、「包括的指揮監督権の復活を彷彿させ、まるで国に全面授権する、いわば『地方版緊急事態条項』のようだ」と主張しました。その上で、「対等・協力」とした現在の国と地方関係が、かつての「上下・主従」へ戻ることに繋がりかねないと危惧し、松本剛明総務大臣に見解を質しました。
松本総務大臣は、地方制度調査会の目的と今回の答申について、「第33地方制度調査会においても、同調査会の目的に沿い調査審議してもらった」「これまでの地方分権の成果を尊重した上で国民の生命を守っていくために求められる地方制度という重要なテーマの答えを示してもらったものと受け止めている」と答弁しました。包括的指揮監督権等については、「本法案は地方自治法に基づく関与として設けられるもので、包括的な指揮監督権の復活や地方分権の後退等の指摘は当たらない」と否定しました。
次に、4年に及ぶコロナ禍が、日本の国・自治体の行政に大きな課題を投げかけたことに言及。突然の一斉休校など非常時における国の見解・判断など、政府のコロナ対策を検証した「新型コロナ対応・民間臨時調査会」では、「場当たり的な判断の積み重ねだった」と報告を受けたと述べました。その上で本改正案での立法事実や具体的な事例の確認として、「災害時では現場の自治体でさえ状況把握が困難であるのに、国が正しいとの前提で指示に従うことを義務付けることが合理的と言えるのか」「既存の法律で対処できないケースとは具体的に何を示すのか」「3類型以外の類型があるとするのなら、どのようなケースなのか」「『大規模な災害感染症のまん延など』の『など』に『武力攻撃事態等及び存立危機事態』は含まれているのか」を総務大臣に質しました。
松本大臣は、国の判断の適切さについて、「国と地方の間で十分な情報共有コミュニケーションを図ることは事態への対応を実効的なものとする前提」「答申では、あらかじめ自治体に対し意見提出を求めるなど適切な措置を講ずるよう努めなければならないとされている」と答弁しました。具体的なケースについては、「本改正は今後、想定ができない事態が生じた場合に備えるもので、個別法では想定されていないが国の責任で対応する必要性が今後も生じうるとしたもの」「特定の事態の類型に限定することなく大規模な災害感染症の蔓延その他その及ぼす被害の程度において、これらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例を設けることとしている」と答えました。武力攻撃事態等や存立危機事態への対応については、「法律で必要な規定が設けられており、本改正案に基づく関与を行使することが想定されていない」と述べました。
最後に、おおつき衆議は、4月28日に行われた衆院補欠選挙で、立憲民主党が3選挙区とも勝利したことについて、自民党の裏金問題における「政治不信の表れに他ならない」と指摘しました。その上で、立憲民主党が衆院で3議席増えたことにより、政治倫理審査会で裏金議員に対し、申し立てを行うことができる数が満たされたとして、「真相解明のため、野党として申し立ての権限を行使する」と宣言。「野党第1党として本気の政権交代を目指して挑んでいく」と決意を述べました。