【参院本会議】「令和7年度総予算案」に勝部議員が反対討論

掲載日:2025.04.01


「令和7年度総予算案」 勝部けんじ参議が反対討論(全文)

 立憲民主・社民・無所属の勝部けんじです。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました「令和7年度予算3案」に反対の立場から討論いたします。

 立憲民主・社民・無所属の勝部賢志です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました「令和7年度予算3案」に反対の立場から討論いたします。

 まずは、28日、ミャンマーで大地震が発生し、多くの方が被災されました。
 お亡くなりになられた方には心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 政府におかれましては、我が国関係者の被災状況の把握に努めていただくとともに、一刻も早い救出と、安全確保に万全を期していただきたいと思います。また、被災をされた国々に対しましても物心両面での支援が必要になってくると思いますのでその対応にも遺漏なきようお願いいたします。

 はじめに、現行憲法下で初となる参議院での本予算の修正について述べます。
 令和7年度予算3案は、衆議院での多数派形成のための自、公、維の3党合意と、「高額療養費の自己負担額の引き上げ」の一部修正のため、29年ぶりに衆議院での修正を経て、参議院に送られてきました。
 しかし、「高額療養費の自己負担額の引き上げ」については、参議院予算審議の初日から、わが党トップバッター田名部議員の質疑において、当事者である参考人からの直談判を受けたことが決定打となり、二日後に患者団体の方々との面会後、総理はその日のうちに凍結することを表明しました。
 まさに「熟議の府・再考の府」である参議院の本領発揮、その役割がしっかりと機能した一幕でした。これは、衆議院から積み上げてきた厳しい追及の上に、更なる議論を重ねた野党は勿論のこと、与党にも慎重論が出るなど、「万機公論に決すべし」をまさに参議院の場で実践したものです。決してあきらめず、最後まで当事者の方々の思いに寄り添った参議院予算委員会の憲政史上に残る大きな成果です。
 このようにして、現行憲法下初となる予算の参議院修正がなされました。
 しかし、それに比べ、なぜ、生煮えの法案を小手先だけ修正して参議院に送ってきたのか、総理の判断が厳しく問われます。総理には判断の甘さと、決断の遅さが当事者や関係者の方々に無用な不安を抱かせたことについても、猛省を促すとともに、今後の検討に当たっては、決して期限を切るようなことはせず、当事者や関係者のみなさんの納得が得られる形で進めるべきことを強く求めます。

 さて、しかしそのような中、石破総理はいったい何をしているのか?
 3月13日には石破総理が新人衆議院議員との懇親会で商品券を配布したことが露見しました。
 私は、懇親会の日取りが3月3日だったという事を聞いて愕然としました。これじゃあ誰が見ても、少数与党の衆議院での出口も無事に決まったし、あとは与党が多数の参議院なので予算は成立したのも同然だから、まずは皆さんご苦労さんと宴席を設けられたのだと思われても仕方のない日程設定です。
 しかも、こともあろうに、そこで10万円の商品券配布のおまけ付きだったという、まさに、官邸の緊張感の無さがいまだに信じられません。当然、この問題でも参議院は振り回され、多くの時間を費やし、「商品券配布問題」は、歴代総理にまで波及し、未だに疑義が晴れません。

 そして一度ならず二度までも。
 3月25日、石破総理と公明党斉藤代表との会談の中で、総理が予算成立後に「強力な物価高対策」が必要との発言があったと報じられました。まさに参議院での真剣な予算審議の最中に、この予算案はそもそも「無力」で「不十分」だと自ら認めたようなもので、その審議自体、意味を成すのかという疑念も生じてしまいます。
「国会軽視・参議院軽視も甚だしい!」と言わざるを得ません。
 このことで、「高額療養費の自己負担額の引き上げ」、「商品券配布問題」に引き続き、3度目の予算委員会での「異例の陳謝」と相成りました。

 そもそも、年度内自然成立が不可能な状態で参議院に送付され、ただでさえ日程が厳しい中で、与野党が互いに知恵を出し尽くしながら、7回の集中審議、76時間の議論、熟議の府・再考の府としての中身の濃い議論を続けてきたのです。しかしながら、参議院での充実審議に波を立て、妨げてきたのは、予算審議をお願いしている当の石破総理なのであります。
 総理のこのような国会運営の姿勢そのものに対して疑義を持たざるを得ないことが、何よりこの場で反対討論を申し上げなければならない、まずは、一つの大きな理由です。

 次に、令和7年度予算案に反対する具体的な理由を述べます。
 本予算案に賛成できない第一の理由は、「国民の命を軽視する予算案」だからです。
 高額療養費問題を典型に、崩壊寸前の危機的状況にある介護・障害・福祉現場で働く方々の処遇改善や、訪問介護事業者に対する緊急支援などに全くとり組もうとしていません。
 第二の理由は、「物価高に苦しむ国民生活を顧みない予算案」だからです。
 値上げが予想される食料品は、年間では二万品目に達するといわれています。実質賃金は3年連続マイナス。地元北海道では、春はまだ遠く、ガソリン・灯油価格の高騰に苦しむ声を聞かない日はありません。そのように国民生活に寄り添ったものとは全くなっていないのです。
 第三の理由は、「税金の無駄遣い予算案」だからです。
立憲民主党は基金全体について、政府自らが決めた3年ルールを逸脱し8兆円規模の積み過ぎが放置されていることを明らかにしました。基金や予備費の無駄に十分に切り込めていないのです。

 以上の反対理由に加えて、強く糾弾せざるを得ないのが、この期に及んでも自らが引き起こした「自民党裏金事件」に端を発した「政治とカネ」の問題を反省していない自民党の姿と、この問題をめぐる石破総理・総裁のリーダーシップの欠如です。
 旧安倍派元会計責任者の参考人招致で、旧安倍派幹部の発言との大きな矛盾が明確になりましたが、石破総理・総裁は、キックバックの再開の経緯などについて再調査すらしないと、問題究明に極めて後ろ向きです。

 先週末、参議院予算審議の大詰めを迎え、審議時間は当初の目安である80時間には届かないが、内外諸課題山積のこの状況で、更に国民生活や経済に影響を与えてはならないとの、参議院与野党幹部の高い次元からのご判断により、年度を跨いでの追加審議と参考人招致という2点の合意をもって、本日、本会議での採決となりました。
 「政治とカネ」の問題は、言うまでもなく、まさに積年に渡り持ち越されてきた課題であり、立法府にその自浄能力が問われている問題です。私たちは引き続き、この問題に全力で取り組んでいく決意を表明すると共に、与党の皆様には、元参議院議員である世耕衆議院議員の参考人招致を予算委員会全会一致で議決した事の重みを改めてご確認いただき、更なる審議の実現に向けて、一層真摯なご努力をいただくことを強く求めます。
 そして、企業団体献金の禁止、選択的夫婦別姓制度の実現、旧統一教会問題、就職氷河期対策など残された課題にしっかりとした答えを出していく国会にしていかなければなりません。
 私たちは、引き続き、国民の皆様が願う「命とくらしを守り、若者と子供たちの未来が明るいものになるように」全力を尽くして頑張ることをここに誓います。

 なお、「自由民主党・公明党提出、令和7年度予算修正案」につきましては、「高額療養費の自己負担額の引き上げ」凍結という参議院審議の成果に基づく修正であり、賛成です。

 以上申し上げ、「令和7年度予算3案」反対討論といたします。
 ご清聴ありがとうございました。